用語解説【しきい値】


1. しきい値とは


【用語解説】しきい値(threshold)
 

Word
しきい値・閾値(しきいち)、スレッショルドとも言う
英語
threshold

 

しきい値」という言葉。普段あまり聞かないのではないでしょうか?
 
しきい値とは「境目となる値」のことなんです。
 
実は様々な電子機器やシステムでは、動作をプログラムで指示するために「しきい値」の設定が重要となります。(※こちらについては、2.日本システムデザイン(株)×しきい値で具体例を挙げて説明していますので、ぜひご覧ください)
 
では語源は何でしょうか?
元々は「門の敷居横木)」から出来た言葉で、「内と外とを分ける」という意味合いから呼ばれるようになったようです。
 
門の敷居を境に境界線があり、内側と外側で分け隔てられている様子

ちなみに電子機器などの工学分野だけで使われるわけではなく、様々な分野で使われています。

 
 
生物学心理学の分野では、閾値を「いきち」と呼び、電子工学物理学などの分野では「しきいち」と呼ばれることが一般的のようです。
 

 
 

 
<使用例>

  • しきい値の温度を超えたので、エアコンが自動的にオフになった」
  • 「出荷の合格ライン基準が改訂されたので、判別機のしきい値設定を変更する」
  • 「自分のしきい値を超えて挑戦した結果、新しい世界が見えてきた」
  • 「同じ痛みでも、他の要因(楽しさ、安らぎ、等)により痛みのしきい値(閾値:いきち)は高くなる」

 


 
このように色々な分野で使われますが、

境界
区切り
パラメーター
限界

とイメージして覚えておけば大丈夫ですね。


 

しきい値って、合格不合格の「ボーダーライン」のようなイメージなんだね。

 


2. 日本システムデザイン(株)×しきい値

弊社の専門分野である【センシング画像処理技術】においても、頻繁にしきい値を使います。
 

研磨加工検査装置では「結果表示の色」に対するしきい値の設定があります。
 
例えば、
55以下なら →  緑色  で表示するよ、
56~70なら →  黄色  で表示するよ、
71以上なら →  赤色  で表示するよ、
と決めてあげるのです。
 

研磨加工検査装置の検査結果画面で、良品・不良品の判定色(赤・黄・緑)の判断は、しきい値の設定を基準にしているという様子のイラスト
 
 
この境界値がないと、システムは判断する基準が無いので困りますよね!
 
 

 

◆◆ その他装置での「しきい値」の例 ◆◆


例① ピッキングロボット

ピッキングの対象物かどうかを判断する際の【大きさの基準
 
【ピッキングロボット】でしきい値と言えるのは、対象物と判断するための大きさ(例えば、径のサイズ)を説明したイラスト図。バラバラに置かれたワークを前に「どれをつかもうかな?」と対象物を選んでいるピッキングロボットの様子。

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例② パーティクルカウンタ

粒子サイズの計測範囲を決めるための【電圧の値
 
【パーティクルカウンタ】でしきい値と言えるのは、粒子サイズの計測範囲を決める電圧の値、を説明したイラスト図。「どの粒子を計測しようかな?」とパーティクルカウンタが考えている様子。(例として、電圧を上げると、より大きいサイズの粒子が計測できる。反対に電圧を下げると、より小さいサイズの粒子が計測できる)

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例③ 内面レーザ傷検査装置

シリンダ内部が欠陥か欠陥ではないかを判定するための数値→【光の量】と【NGと判定した面積
 
【内面レーザ傷検査装置】でしきい値と言えるのは、①反射で返ってきた光の量②NGの面積、を説明したイラスト図。「どこまでを欠陥と判定しようかな?」とレーザ検査装置が考えている様子。(例えば、1画素中の光の量が100以上ならOK、100未満ならNGとする、など)、を (※内面レーザ検査装置は、傷があるとレーザの光は“少なく返ってくる”という性質を利用しています!)

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例④ 穀物の検査装置

対象物を抽出する際の【RGBの値
 
【穀物の検査装置】でしきい値と言えるのは、対象物を抽出する際のRGBの値、ということを説明したイラスト図。「どれが検査の対象物かな?」と検査装置が考えている様子。撮影したままの画像だと対象物がハッキリしないが、画像を赤 (Red)、緑 (Green)、青 (Blue)の三原色に分けて「しきい値」を設定することで、玄米の形状を抽出できます。(※二値化とは、濃淡のある画像を、画素ごとに「しきい値」より大きいと「白」・「しきい値」より小さいと「黒」と置き換えることで、【白黒の2階調にする】こと)

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例⑤ 木材検寸装置

サイズOK・NGの【許容範囲
 
【木材検寸装置】でしきい値と言えるのは、計測サイズの合格・不合格を決める許容範囲、ということを説明したイラスト図。「どこまでを合格としようかな?」と検寸装置が考えている様子。(例えば、105mm角の木材で+(プラス)2.5mmー(マイナス)0.5mmまでは合格サイズとして「しきい値」を設定した場合、107.5mm~104.5mmまでは合格で判定されます)

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日本システムデザイン(株)が提供している装置では、「しきい値」を使うことが多いのね。


2018年に開発した、年輪の向きを判定する【年輪方向判定装置】というシステムがあるんだけどね。
 
この装置も、しきい値の例④【穀物の検査装置】と同じように年輪画像を“二値化(白と黒の2階調にする)”という前処理をしてから方向の判定処理を行っていたよ。
 
▼ 精度99.10%以上の【年輪方向判定装置記事(2018.11.12)】はこちら
 
年輪検出(正答率99.10%)のバナー画像

 

Written in 2019.04

 
 

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