1. IoTとは
- 読み方
- アイオーティー
- 英語
- Internet of Things の略称
今までインターネットは、パソコンやサーバー等に接続することが主流でした。
IoTは、パソコン以外の身の回りのあらゆる「モノ」がインターネットにつながることを表現した言葉です。
例えば、「エアコン」や「照明」などの “スマート家電” を思い浮かべてもらうとイメージしやすいかもしれないですね。
今までインターネットとつながることのなかった「エアコン」や「照明」もIoT化により外出先からスマホでON、OFFなどの操作ができるようになります。
このように、今までネットワークにつながっていなかった機器(モノ)がネットワークへつながることで、不便だったことへの問題解決に役立つと考えられています。
さらには、「人」「データ」、「プロセス」など“モノだけではない” あらゆるすべてがインターネットでつながる「IoE(Internet of Everythingの略)」という概念もあります(米国のcisco社※によって提唱)。
※アメリカ合衆国カリフォルニア州サンノゼに本社を置く、世界最大のコンピュータネットワーク機器開発会社。<引用:Wikipedia>
インターネットへの接続がパソコンやスマホだけではなくて、車や家とかまで広がったってことだったんだ。
今までひとつのモノで切れていたものを “新しくつなげること” で、不便だったことが解決できるんだね。
IoT社会では、センサなどからの情報を集めて連携・解析することで、ひとつひとつでは意味がない情報だったとしても新しい価値をフィードバックしていくことが出来るそうよ。
2. IoT 6つの具体例
まずは【IoTを用いたサービスの例】を 6つ 見てみましょう。
“どういうところが便利になったのか(Before → After)” についても注目してみます。
- 【工場の機械管理】
- 工場の機械にセンサを取付けて、稼働状況を「モニタリング」する。また作業実績、作業進捗のデータを自動収集する。
■ Before- 機械の停止をあんどんが知らせても、省人化した工場では人が気づくのが送れるケースもある
- ラインが突然止まってしまって、損害が出る
- 人手でのデータ収集には時間・労力がかかる。もしミスがあると間違ったデータで計画が立案されてしまう。
- 機械の異常などは職人の経験に頼っていて、稼働率などの数字を正確に把握できていない。
■ After- ある装置が停止すると、関連する装置も自律的に停止させて、無駄なワークを防ぐことができる
- 異常を知らせることで故障する前に対処ができるようになり、止まるのを防ぐことができる
- データ収集が速くなることで計画立案アクションを早め、さらに正確な生産管理が期待できる
- 正確な稼働状況を把握・改善していくことで、稼働率アップが期待できる
いかがでしたか?
「トコトンやさしいIoTの本」という書籍では、IoTは “イベント駆動社会への変化” と紹介されています。
決まったスケジュールに合わせて起きる事象を「スケジュール駆動の事象」といいます。一方、個人の意思や社会の需要が動機になる場合は「イベント駆動の事象」と呼びます。社会全体がスケジュール駆動からイベント駆動に変化する大きな流れがあり、パラダイムシフトと言えるでしょう。
引用:「トコトンやさしいIoTの本」(著者:山崎 弘郎)第1章
例えば、現在は橋やトンネルなどの設備を定期的に点検・補修しているとします。決まった時間に行動するので「スケジュール駆動」です。
これをセンサが『劣化してるよ』とか『壊れてるよ』とIoT技術を使って知らせてくれるとするなら、故障や事故を防ぐことができたり無駄な点検をする必要が無くなりますよね?このように行動するタイミングに変化が起こる、とのことでした。
6つの活用例もセンサでイベントを察知してから処理が行われていますので「イベント駆動」ということがよく分かりますね。
例えば、昔は車だって無い時代があったけど、馬とは全く違う形の「車」という移動手段が当たり前になったよね。
これから何十年後には「今はない当たり前」がIoT、IoE社会によって、きっと作られるんだろうなってことが分かったよ!
3. IoTの歴史
日本では、2010年以降からニュースなどでも良く耳にするようになり、2016年4月20日には、法律【特定通信・放送開発事業実施円滑化法の附則】※でも定義されました。
近年「IoT」が広がりを見せているのには、下のようないくつかの背景が考えられます。
- スマートフォンの普及
- 通信インフラの充実
- センサの小型化・省電力化・低価格化
- 半導体の小型化・軽量化
- クラウドの出現、ビッグデータの蓄積
電子情報技術産業協会(JEITA)によると、CPS※/IoTの世界市場規模が2016年には日本で11.1兆円だったが2030年には日本で19.7兆円にもなると発表しています。(2017年情報)
大量のセンサーなどからのデータを分析活用するシステムのこと
また、センサの市場については2020年には現在の3.2倍以上の成長があるとも予想されています。
これからは、『IoTを現場でどのように導入していくのか?』を考えるステージに移ってきているのですね。
もしも目的が決まってなければ、導入コストだけが余計にかかる、という事態になってしまうんだって。
「IoT」をどんな風に取り入れるのか、コストとのバランスを考える必要もあって、そこが難しいところのようだわ。
4. 求められるセキュリティ対策
以前、“自宅用ネットワーク監視カメラが乗っ取られていた” という怖いニュースが報道されたのは記憶に新しいですよね。
「2. IoT 6つの具体例」でもご紹介したとおり、IoT社会では個人用の情報端末や家庭内機器もネットワークに接続されるためプライバシーの保護も課題となっています。
一般的に情報セキュリティとは、気密性、完全性、可用性の3つを指します。IoTでは、この3つに加えて、安全性とプライバシーの2つが必要になります。
【基本的なセキュリティ要素】
- 機密性
(その情報にアクセスできる人のみがアクセスできること)- 完全性
(適切な権限を付与された人以外から情報が改ざん・消去されないこと)- 可用性
(必要時に適切な人が確実に情報を利用できること)
【IoTでさらに必要となるセキュリティ要素】
- 安全性
(つながっているモノ・コトに適切な挙動を確保できること)- プライバシー
(適切な人と目的のみにデータの参照が制限されていること)引用:「「IoTの基本・仕組み・重要事項が全部わかる教科書」(著者:八子 知礼)7.2求められるトータルなセキュリティ
有名なセキュリティインシデント(情報セキュリティを脅かす偶発事故・意図的攻撃)としては、2016年のマルウェア※「Mirai」によるDDoS(Distributed Denial of Service attack)攻撃というものがあります。大量のパケットを送り込むことでサーバに負荷をかけてダウンさせる攻撃です。
この起点となったのが、ネットワーク接続機能を備えたルーターや25,000台以上の防犯カメラだとされていて、まさにIoTの脆弱性を悪用した事件と言われています。
不正かつ有害に動作させる意図で作成された悪意のあるソフトウェアや悪質なコードの総称で、コンピュータウイルスやワームなどがある。
このようにIoTデバイスはサイバー攻撃の踏み台にされる可能性が高いため、「IoTデバイスの設計段階でセキュリティを考える」ことも必要と言われており、早急なIoTセキュリティ対策が求められるのです。
IoT社会では、主要インフラや医療などの分野でもインターネットへ接続することから「人命に関わる」割合が大きくなるんだね。
例えばね、【パスワードを初期設定のままにしておかない】【ソフトを最新版にアップデートする】などが、私たちユーザでもできる「対策の第一歩」となるわよ。
5. 日本システムデザイン(株)×IoT
マイクロマウスから始まった弊社ですが、マイクロマウスは、まさに迷路の壁をセンサでセンス(検出・測定)する技術のロボット競技でした。
組み込みシステム開発の例で見てみると、
- AGV 磁気テープをセンス
- 自律型ロボット 環境(障害物など)をセンス
- 内径傷検査装置 シリンダ内の壁をセンス
- ピッキングロボット 把持したいワークをセンス
というように、センサを使った「高度なセンシング」が得意です。
「センシング技術 × IoT」の新しいシステムについて、ご要望・ご質問などございましたらお気軽にお問い合わせください。
[BeagleBoardを利用]
①機械で得た判別情報をネットワーク経由で
・PCやスマホへ送る
・PCやスマホから確認する
②しきい値が変わった等の場合に、
自動的に機械(デバイス)へデータを更新する
というようなやり取りがあるんだけど、まさにIoTだよね!
これは距離画像センサを使って要介護者がベッドから転落してしまった場合、警報をメールで知らせるシステムなんだって!
IoTと関係のある【AI】や【クラウド】の解説もぜひご覧ください
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- < 参考文献 >
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■「IoT 最強の指南書」著者:吉田 琢也 2018年5月21日発行 / 日経BP社
■「人工知能と社会 2025年の未来予想」著者:栗原 聡・長井 隆行・小泉 憲裕・内海 彰・坂本 真樹・久野 美和子 2018年2月15日第1版発行 監修:AIX(人工知能先端研究センター) / 株式会社 オーム社
■「IoTの基本・仕組み・重要事項が全部わかる教科書」著者:八子 知礼 2017年11月1日発行 / SBクリエイティブ株式会社
■「IoT、AI、RPAで変わるモノづくり イラスト図解 スマート工場のしくみ」編著者:川上 正伸、新堀 克美、竹内 芳久、 2017年11月1日発行 / 株式会社日本実業出版社
■「トコトンやさしいIoTの本」著者:山崎 弘郎(さまさき・ひろお)、 2018年8月30日初版発行 / 日刊工業新聞社
- < 参考サイト >
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■総務省>第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~>第1節 IoTがもたらすICT産業構造の変化
■総務省>(1)ユビキタスからIoTへ>第2部 ICTが拓く未来社会>(1)ユビキタスからIoTへ
■総務省>第2部 ICTが拓く未来社会>第4節 ICT化の進展がもたらす経済構造の変化>(2)IoTの実現がもたらす経済的効果
■総務省>「未来をつかむTECH戦略」概要PDF
■総務省>IoT新時代の未来づくり検討委員会 >IoT新時代の未来づくり検討委員会(第5回)(2018年6月22日開催)
■総務省> IoT機器に関する脆弱性調査等の実施結果の公表