[概要]以前はプリント基板を作ってもらうには最低でも5万円以上のお金がかかっていたため、アマチュアは自分でエッチングをしたりして苦労していたものですが今は場合によっては数百円で基板作成を注文できるようになりました。(送料が1000円以上かかりますが)
KiCADを使って基板データを作成したらガーバーデータを出力してプリント基板メーカーに送れば基板を作ってもらうことができます。
ここでは格安で基板を作ってもらえるElecrow向けのデータ出力方法について説明します。
他の基板メーカーにデータを出す場合は基本的に同じ作業でOKです。
新着 elecrowのセールで格安基板をゲット
テスト用に簡単なリモコン基板を設計してelecrowに注文しました
急がないので安い航空郵便を選択したところ3週間くらいかかってやっと届きました。(¥2,000位の送料を払えば10日程で入手できます)
10cm×5cmの両面基板5枚で$4.9+輸送費$6.42の計$11.32でした。
5枚頼んだのに11枚入っています、太っ腹のelecrowさんは時々大サービスをしてくれます。
一見したところ基板の仕上がりは良く裏面の0.5mmピッチのパッドも綺麗に出来ていました。
それにしても「この価格でイニシャル込みの基板が5枚作れるなんてどうなの?」と国内基板メーカーの行く末が少々心配になります。
データ出力ウィンドウを開く
プリント基板エディタのメニューでファイル→プロットを選択して製造ファイル出力のウィンドウを開きます。
ガーバーデータの出力
出力フォーマットは「ガーバー」を指定します
ガーバーオプションで「Protelの拡張子を使用」にチェックを入れます。
Protelとは業務用で最もシェアの高いプリント基板CADでElecrowがそのCADと同じ拡張子でガーバーファイルを作ることを要求しているためです。
他のメーカーに頼む場合もProtelと同じ拡張子を使ったほうが間違いが少ないと思います。
その他のオプションは上の通りでOKです。
レイヤの指定:2層基板の場合以下の6~7種のデータが必要となります。
4層基板の場合はさらに2つの内層レイヤデータを出力します。
F.Cu : 部品面の銅箔バターンです。
B.Cu:ハンダ面の銅箔パターンです。
B.Silks : ハンダ面のシルクパターンです、裏面に実装部品が無ければ省略して構いません。
F.Silks:部品面のシルクパターンです、無くても構いませんが値段が安くなるわけでは無いのコンポーネントIDの他に基板名やバージョンなどを含めて出来るだけ多くの情報を記述しておくと後々助かります(経験談)
B.Mask:ハンダ面のレジストマスクです、レジストとはハンダ付けしないところに塗布して基板の腐食やショートを防ぐためのものです。
普通、プリント基板が緑色をしているのは緑色のレジストを使っているためです。Elecrowでは緑の他に(赤)(黒)(黄)(白)などのレジストを指定出来るので基板のバージョンを区別するためなどに基板の色を変えることも出来ます。
F.Mask:部品面のレジストマスクです。
Edge.Cuts:基板外形です、基板の外形加工のために必要となります。長方形以外の任意の形を指定することが出来ます。
オプションとレイヤの指定が終わったら「製造ファイル出力」のボタンをクリックしてガーバーファイルを作成します。
ガーバーファイルの出力は一瞬で終わり、.gtl .gbl .gbo .gto .gbs .gts .gm1 の拡張子を持つファイルが指定したフォルダに出力されます。
ドリルデータの出力
「ドリルファイルの生成」ボタンをクリックしてドリルデータ出力ウィンドウを開きます。
上のようにオプションを指定して「ドリルファイル」のボタンをクリックすると拡張子.drlのドリルファイルが出力されます。
スルーホールメッキをしない取り付け穴などを使っているときには名前の後ろに-NPTHがついた別のドリルファイルが出力されます。
ドリルファイルはNCデータでメモ帳などのテキストエディタで開くことができます。
ドリルファイル以外は必要ありませんのでこれでメーカーに提出するデータがそろいました。
※ガーバーデータの確認
ガーバーデータを出力したらガーバービューアを使ってどのようなデータが出力されているかを確認することをお勧めします。
ガーバーデータの確認にはViewMateのフリーバージョンを使うことが出来ます。
出力されたガーバーデータを起動したViewMateのウィンドウにドラッグドロップすればガーバーデータとして出力されたパターンを確認できます。